no.3 「au-delà」

no.3 「au-delà」

2018-10-17

no.3 「au-delà」

ギャラリー

もう40数年も前のことですが、フランステレビ放送 France Antenne 2 (今はFrance 2)で深夜の放送終了の際に使われていたアニメーションがJM Folonのものでした。
音楽は Michel Colombierがバロックを編曲した”Emmanuel”。後にこの曲は、作曲者自身の亡くなったお子さんへの鎮魂歌だと知りましたが、Folonの描いた男たちがAntenne 2の文字を一つづつ持ちながら地球に見立てた地平線に音楽と共にゆっくりと消えてゆくアニメーションは、さすがに文化・芸術を標榜する国のテレビ局だと降参してしまいました。

爾来、私はFolonの水彩画に魅せられています。

8年前にガンを患った親友への見舞いにと始めた週一の絵手紙をきっかけに、絵の具や紙、筆などを少しづつ買い足して6号サイズの水彩画に挑戦し始めました。その親友は1年後に向こうへ行ってしまいましたが、彼が与えたキッカケを今も細々と続けています。ピエロのGalleryは、その愚作が掛けられている画廊です。

これは「au-delà」(その先へ)と題しました。

細くて長い指をした手はFolonの最も大切なモチーフの一つです。不自然に長くて細い指がまったく不合理に見えないところが、Folonの素晴らしさの一つです。でも、彼の指を真似るのは難しく、太さやそれぞれの指の位置バランスなど、何枚もスケッチをしては書き直しました。

モチーフは悟空のエピソードのようですが、私が渡仏した時の機内の心境は、こんな感じでした。生活に安心感のようなものを与えてくれていた一切の日本的なものから飛び出した日の記憶は、今でも当時のまま記憶に残っています。