10 アレクサンドル2世による「大改革」
農奴制廃止は「私が息子に残す最も必要な行為」だと述べたニコライ1世の言葉は、子のアレクサンドル2世にどのように響いていたのでしょうか。アレクサンドル2世が行った改革は近代ロシア史において画期的な「大改革」であったことは歴史家に共通する意見ですが、農奴解放令によって「大改革」が始まったわけではありません。クリミア戦争敗北(1856年)と皇帝の交代(1855年)はほぼ同時で、アレクサンドル2世は敗戦によって明かされた弱体化した国家の姿に即位直後に直面します。そして、政府が抱える第一の課題は国家財政の赤字解消をどうするかということを理解しました。1852年から57年の間(クリミア戦争は1853〜56......
POSTED:2022/2/25